遺品はすべて『リサイクル厳禁』

この日の現場は、関西でも有名な高級住宅街に建つ大豪邸で、ご依頼主はとても清楚で美人の30代のご姉妹です。一人暮らしのお母様が亡くなられて、メモリーズに声をかけて頂いたのですが、見積に行った時にすごく驚きました。有名ブランドのバックや衣類、貴金属などが山のようにあり、まるで高級ブティックです…しかし本当に驚いたのは、そのあとご姉妹から伝えられた『リサイクル厳禁』…つまり、すべて処分という言葉に驚いたのです。

通常であれば、遺品はご遺族様で形見分けし、必要な物は利用し、そうでないものはリサイクルなどに売却（現金化）するのが普通です。明らかに市場に流せば高値で売買されるような品物が、2tトラック一杯分はあるのですから、本当に驚きました。
話を伺うと…「母が愛用した遺品を、リサイクルなどで再利用して欲しくないのです…他人に使われたくないのです。その気持ちを遵守してくれる業者さんを探しているのです。そして供養をきっちりして頂き、個人情報は守って下さい」そんな事は今まで一度もなかったので少し戸惑いましたが、もちろんご依頼主の意向を尊重し、遺品整理をさせて頂くことになりました。

作業当日はご依頼主立会いのもと、一品一品に傷を入れて商品価値がなくなるようにしてから搬出させて頂きました。最後にトラックの後ろを閉めてご姉妹にご挨拶をした時、深々と頭を下げてくださり、出発してからも手を合わせて、角を曲がるまでずっと頭を下げていらっしゃいました。その後はお約束通り、すべての遺品をお寺に運び込み、しっかりと供養を執り行い、廃棄処分とさせて頂きました。後日、その時の写真を郵送したところ、ご丁寧にお礼のお手紙を頂戴しました。確固たる意志に基づいた遺品整理…きっと亡くなられたお母様も喜んでおられる事と思います。