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遺品が語る…81歳男性の「趣味」


大阪市内にある集合住宅の一部屋で孤独死の事案があり、遺品整理の見積依頼を頂きました。亡くなられたのは81歳の男性で、発見が早かったとのことなので、遺品整理が中心の作業になりそうです。当日、ご依頼者である故人のお姉様と現場の前で待ち合わせをし、現場に向かいます。お姉様は80歳代後半というご高齢のため、普段は地元の田舎から外出することはほとんどなく、大阪を訪れたのも初めてで、もちろん弟様の家にも来た事が無いと仰ってました。また、最近はお弟様とも連絡はあまり取ってなかったそうです。

鍵を開けて中に入ります…この現場もそうでしたが、ご高齢者の孤独死の場合、家が片付いてない事が多く、お姉様は荒れた部屋を見て大変驚いておりました。間取りは1DK、台所の向こうに部屋があります。そこへ入ると、亡くなっていた場所である布団がありました…が、もっと気になる事に気付きました。部屋中に物干し竿がセットされていて、数十着もの衣服が吊るしてありました…そして、そのすべてが『女性の服』だったんです。
ふと座卓に目をやると、女性のカツラが…。私はすぐに「なるほど…そういうことか…」と思い、特に驚く事なく淡々と見積を進めていました。しかし、その部屋を見てお姉様が慌てて「違う人の部屋に入ってきてしもた!兄ちゃん、早く出ないと怒られる」と私の手を引っ張ります。「いえいえ…この部屋ですよ。お姉さんが鍵で開けたじゃないですか」「弟は男です!」と受け入れません。お姉様はパニックになっていて、事態が把握できておりません。

すると、しばらくしてお姉様はひとつの結論に至ったようです。「ははーん…女がいたな…死んだから金持って出て行ったな!」 お姉様にはどうやら『女装癖』という引き出しがないようです…無理もありませんが。部屋の中にはお弟様のご遺品がたくさんあり、それを見てお弟様の部屋であることは納得するものの、女性用の衣服に関しては、最後までご理解されませんでした。ちなみにご近所の人に話しを聞くと、外出するときは男性の格好だったそうです。
人にはそれぞれにいろんな趣味や性癖などがあります…私たち遺品整理人にとっては日常のことで特に驚くことはありません。…が、しかし、ご遺族やご親族の方理解し難いようですね。

この記事を書いた人

横尾将臣

横尾 将臣
所属:メモリーズ株式会社 大阪本社
役職:代表取締役
資格:グリーフケアアドバイザー1級取得

遺品整理専門業者メモリーズ株式会社の創設者。創業から15年が経った今も、現場の最前線に立ち続けている生粋の遺品整理人。
遺品整理業界のパイオニアとして業界を牽引する一方で、若手育成にも尽力。それらの功績が認められ度々メディアなどに紹介されている。

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