この記事を書いた人
横尾 将臣
所属:メモリーズ株式会社 大阪本社
役職:代表取締役
資格:グリーフケアアドバイザー1級取得
遺品整理専門業者メモリーズ株式会社の創設者。創業から15年が経った今も、現場の最前線に立ち続けている生粋の遺品整理人。
遺品整理業界のパイオニアとして業界を牽引する一方で、若手育成にも尽力。それらの功績が認められ度々メディアなどに紹介されている。
私たちがお片付する遺品の整理は、1つの現場に1つのドラマがあります。ご依頼主様から聞くお話、現場を整理していて浮かび上がる故人の人生など様々です。今回のお話は、東北に住む娘様がご依頼人です。嫁いだ先の東北の地で、ご主人と中学生の長男、小学生の次男の4人暮らしだそうです。
数年前にお父様をなくし、お母様は大阪の実家で一人暮らしをしておられ、たまの電話でお孫さんと話すのが楽しみだったそうです。なるほど、家にはお孫さんの写真が電話の横、冷蔵庫や下駄箱などに飾られていました。お母様が暮らすご実家は3DKの古い団地で、部屋には娘様の学習机が残っていました。娘様は実家に帰ってくるたびに、学習机を処分するよう業者に問い合わせをしたようですが、お母様は拒み続けたそうです。
私にはお母様の気持ちがわかるような気がします…ただ「娘の思い出の品」というわけではなく、なくなってしまうと心の中の思い出が消えていく怖さがあるからだと思うのです。いつかの講演会の時に「高齢で一人暮らしを続けると、色んな繋がりがなくなっていく気がする。声を掛けてもそっけなくされると、孤独感に襲われる」と、私の講演を聞きにきてくれた方に言われたことを思い出しました。高齢者の方は色んな不安と向き合い、何か前向きに思えることを捜し続けていると思います。
そんなお母様ですが、昨年の秋頃から体調を崩す日々が多くなったそうです。娘様のご主人は「こっち(東北)にお義母さんを呼んであげたら?」と言ってくれたそうで、そのことをお母様に伝えると、大喜びし、「そうしたら何を持って行こうかね~…あんたの学習机は残念だけど処分しないとね…」と心はすっかり東北に行っていたそうです。引越の予定を、部屋の増築工事が完成する年明けの2月に決めて、お互い準備に入りました。
クリスマスには、寒い東北に住むお孫さん2人を想ってか、派手な手編みのマフラーが送られてきたそうですが、中学生のご長男は「学校には恥ずかしくてしていけないよ」と苦笑いしていたそうです。
そしてクリスマスが終わり、数日で新年を迎えるという慌しい日の夕方、大阪のご実家の近所に住む友人から電話が鳴り、「お母さん、倒れて救急車で運ばれたよ!」と連絡が。娘様は頭が真っ白になって、すぐに大阪へ向かわれましたが…病院へ着いた時には、すでにお母様は亡くなられていたそうです。
遺品整理の当日、お母様の寝ていたベッドの横に小さなテーブルがあり、その上に編み掛けの毛糸が置いてありました。「この続きは私が編みます…だからこれは捨てないで下さい」と娘様が仰ったのですが、その時は事情を知らなかったので「趣味の楽しみを持って暮らしていたのですね、素晴らしいですね」と答えました。後で分かったことですが、中学生のお孫さんに贈ったマフラーがカラフルな色使いで恥ずかしいという話を聞き、新たに学生服に合う地味な「黒色の毛糸」でマフラーを編んでいたようです。2月から一緒に住むようになった時に、手渡そうと思っていたのかもしれません。娘様は黒色の毛糸と編みかけのマフラーを見て、すぐにお母様の意図を察したのでしょう…。
遺品整理が終わり、きれいになった部屋でお会計をさせて頂いた時、お母様が最後にくれた手紙の内容を話してくれました。「一人暮らしは寂しくて、本当に苦しいときがあるけど、人生の最後に孫と一緒に暮らせるという最高のプレゼントを与えてもらえた事を感謝します。」と書かれていたそうです。娘様は「母はさぞ残念だったでしょうが、きっとこれからも見守ってくれると思います」と私に伝え、最期に「お母さん、ありがとう…」と言って、玄関の鍵を掛けられました。思い出を扱う遺品の整理は、奥が深いと改めて思い知らされた現場でした。
横尾 将臣
所属:メモリーズ株式会社 大阪本社
役職:代表取締役
資格:グリーフケアアドバイザー1級取得
遺品整理専門業者メモリーズ株式会社の創設者。創業から15年が経った今も、現場の最前線に立ち続けている生粋の遺品整理人。
遺品整理業界のパイオニアとして業界を牽引する一方で、若手育成にも尽力。それらの功績が認められ度々メディアなどに紹介されている。
遺品整理とは本来、ご遺族の方々が故人を想い、偲び、「思い出を整理する」事だと思います。しかし、遺品整理は精神的にも肉体的にもご負担を感じる大変な作業で『自分でやりたいけどどうにもできない』のは仕方ないことです。
メモリーズは開業以来、15,000件超の遺品整理実績を積み重ねてきており、担当させて頂く遺品整理人は高い志と豊富な経験を持っています。ただ遺品を処分するのではなく、ご遺族の方が前向きな気持ちになれるようにと、心を込めて遺品の片付けのお手伝いさせて頂きます。遺品整理のことでお困りなら、是非、メモリーズにご相談下さい。
関西エリア:大阪府、京都府、兵庫県、和歌山県、奈良県、滋賀県
南関東エリア:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、栃木県
中部エリア:愛知県、山梨県、静岡県、長野県、岐阜県、三重県
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四国エリア:香川県、徳島県、愛媛県、高知県
以上の25都府県(北部、山間部、離島など一部地域を除く)が、対応地域となります。