ゴミ屋敷と孤独死の関連性

とある講演会を拝聴したとき、孤独死を研究している先生が、こう仰っていました。「ゴミ屋敷と孤独死の関係性はほとんどありません。なぜなら近所の方が気になっているから孤独死に至らない」...と。私は首を傾げました。少なくとも私の過去の経験では、関係性は大いにあると思います。やはり、現場経験もなく机上で研究だけしていても、何も理解できないんだなと少し残念な気持ちになりました。

ゴミ屋敷にもいろいろなタイプがあり、アピール型なら近所の方にもわかるのでそれなりに分かるのですが、外からは普通の家でゴミを出さずにどんどん溜まって行くケースは中々わかりません。ましてセルフネグレクト（自己放任）の状態だと、社会から孤立してしまうためご近所との接点もなくなります。そして生活が荒れて亡くなっていく…。メモリーズに依頼が来る孤独死の中で、ゴミ屋敷は少なくありません…いや、むしろ多いほうだと思います。

今回の現場は、大阪市内の分譲マンションでした。管理組合がありコミュニティもしっかりとしていると思っていましたが、難しい問題だなと考えさせられます。故人はご高齢で部屋はゴミ屋敷化しており、孤独死されたあとも数週間も発見されませんでしたが、死臭と害虫の発生でようやく近隣住民の方が気付かれたそうです。
ご依頼主は故人のお兄様で、80歳を超えておられるのに、作業を終始見守ってくれました。きれいになった部屋を見て「大変な仕事だね…頑張って下さいね」とおっしゃり、小さい背中を丸めて遠く九州まで帰って行かれました。高齢になり、一人になって、ご近所や身内とも話さず生活をしていく..。それ自体を否定するわけではないのですが、緊急時の連絡先の共有や定期的な訪問など 小さな取り組みで死臭や害虫の発生でパニックになるような事は避けられると思います。