野良猫と格闘

今回の仕事は特殊です。いつもお世話になっている行政の方からの依頼で「野良猫の生捕」が今回の任務です。遺品整理はプロですが、野良猫の扱いは素人そのもの…。話を訊くと、担当するご高齢者のお宅に野良猫が3匹住みつき、困って便利屋さんに見積りを取ると費用が結構高かったらしく、それで私どもに相談してきたと。そういうことなら、福祉整理の一環として断るわけにはいきません。「やりましょう！」と、心よく引き受けたのですが、こんな結果になるなんて…。

遠方に仕事があったので、その前にサッと終わらして、次に向かう予定でした。現場は小さなアパートで、玄関に猫用の入り口がありました。そこは行政の方が通れないように物を置いてくれていました。猫3匹は、押入れに居るとの事なので、ゴーグルをしていざ捕獲へ。
押入れから追い出すと一目散に玄関のドアへ走って行きますが、 通れないことが分かると物凄いスピードで帰ってきました。私が構えます。そして猫が通り過ぎるぐらいの所でタックルのように抱きかかえました。 すると爪で背中あたりを引っ掻き回します。背中に激痛が走りますが「何が何でも離さん！」と強くホールドします。スタッフ山下君が上半身を押さえ込もうとしたら 「ガブッ」と指を噛まれました。そんなこんなで何とか1匹目を確保。しかし、山下君の指は血だらけ…私の服と背中はボロボロ…「こんな事になるなんて…舐めとった」後悔の念が頭をよぎります。すると…何か私の下半身辺りが妙に冷たい…そして臭う。ふっと見ると、思いっきり小便掛けられていました。情けないやら、腹立つやら…複雑な心境のまま第2ラウンド開始！

２匹目が押入れから同じルートを走って私の方へ向かってきました。同じようにタックル仕掛けたら「ガブッ」次は私が噛まれました。しかもまた玄関に行き、専用ドアを簡単にすり抜け脱走。顔は笑ってましたが悔しくて泣きそうでした。しかも、事もあろうに3匹目も全く同じで脱走成功！
このやられた感…脱力感…私はおしっこ臭いまま現場を後にしました。すぐにコンビニで下着、ワークマンでズボンを購入し、次の現場に向かいました。その夜、私の手は…リンパ腺は腫れるし、熱が出てきたので病院へ行きましたが、麻酔を打たれ、傷口を開けられ消毒されました。そして、現在も点滴通い…。 情けない…野良猫恐るべし。安易に慣れないことを引き受けるとダメですね…。