アルコール中毒の果ての孤独死

葬儀社様のご紹介で見積に急行しました。死後数日経って発見され、現場は結構汚れているとの事でした。大阪市内のアパートが密集している地域。現場と同じ住所で4世帯ぐらいあり、表札を探すのですが、ほとんどが表札がでていないためにどこが現場なのかわかりません。しかし、私には「鼻」という武器があります…家はすぐに分かりました。すると近くに集まっていたご近所の方が私の周りに集まってきました。
「兄ちゃんここで何しとんや？ここの家な、死んでおらんぞ！」「私はこのお家を、片付ける専門業者の者です」「ほう、そうかいな…ここの人な、ひどいアル中でのう」と、故人様の乱れた生活を聞かされました。ご近所の方とあまりコミュニケーションをとってないと言ってました。「もっと我々と仲良くしてくれたら、そんな状態で発見されなかったのにな…」 私は心の中で大きく頷きました。

しばらくして、ご依頼主の弟様と大家さんが来られました。両者共に、臭いで家の中には入れません。部屋の中は、家電製品とタンス１つ、そして酒のパック、ビン、缶が足の踏み場もないぐらい散乱していました。生涯独身だったそうで、小さい時に撮ったと思われるご兄弟の写真を渡した時に目に涙を溜めて、こんな時もあったな…と小声で呟いておられました。「男兄弟と言うのは、そんなに連絡取らないですからねぇ」 そういえば私も男兄弟。妙に納得してしまいました。皆さん、1人暮らしのご高齢者が近所にいたら挨拶しましょうね。